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フロスト気質



フロスト気質 上 (創元推理文庫 M ウ)フロスト気質 上 (創元推理文庫 M ウ)
価格:¥ 1,155(税込)
発売日:2008-07
閑話休題。



取材や仕事が忙しい時、合間に、ミステリーを読んだりする。



仕事で抱えるトラブルよりも、ミステリーの中の事件(殺人や誘拐、暗殺、ときにはテロ)のほうが、深刻で大きいので、現実世界のストレス発散の効果があるのかもしれない。



そのミステリーフアン待望の一冊が、出た。R・D・ウィングフィールドの「フロスト気質」(上下、創元推理文庫)だ。



フロスト・シリーズといえば、これまで三冊が翻訳されたが、いずれも、年末の「このミス」などのミステリーベスト10の最上位を占める大人気シリーズ。



文庫本で発刊され、それも一冊一冊が厚い。そして、翻訳がなかなか出ない(遅い)ことでも知られている。



シリーズ第3巻の「夜のフロスト」が出たのが2001年だから、なんと7年ぶりだ。



やっと、待望の第4巻というわけだが、待望の意味にはもうひとつある。



作者のウィングフィールド氏が昨年7月末に亡くなったのである。「え、もう、フロストシリーズは読めないのか?」と思ったフアンもいたことだろう。



ところが、未翻訳が3冊あり、その中の1995年刊「Hard  Frost」が今回、翻訳されたわけだ。ちょうど、著者の一周忌のタイミングに。



亡くなった著者の作品がまだ3冊ある、亡くなったあとでも、じっくり楽しめるというのは、翻訳を読む海外読者の利点かも知れない。



さて、この「ハード・フロスト」は題名通り、かなりハードな内容だ。



まず今回は、文庫本、上下合わせて900ページといつもに増して厚い。



連続して、いろんな事件が起こり、それぞれがなかなか解決せず、進む点。



フロスト警部が直感・ひらめき型の場当たり捜査を繰り返し、空振り・失敗をしながら真相に近づいていく点。



フロスト警部が被害者宅をおとづれ妙齢の女性に会うたびに、エッチな妄想を浮かべ、セクハラまがいのお下品な会話が満載な点。



事務能力はまったくなく、ずさんだが、捜査に入り込むと睡眠時間も1、2時間の仕事中毒で、よれよれコートとマフラー姿で歩きまわる点・・・いづれの点もいつもどおり。



というより、その「フロストらしさ」が、「いつもの1.5倍ぐらい」(解説の萩原浩氏)たくさん詰まっているのだ。



今回は、部下に女性の部長刑事が初登場、さらに、出世の鬼でいけすかないジム・キャシディが警部代行で舞い戻ってきて、フロストの捜査をじゃましながら手柄だけは自分のものにしようとする。



上司のマレット署長から、「経費だけかけて結果が出ない」「行き当たりばったりで、ずさん」「君はこの署に、いてはならない警部だ」と、おこごとをいわれ、更迭をほのめかされながらも、冗談をとばしながら奮闘するフロスト警部の姿を見ていると、なるほど、ストレス解消になりそう。



今回は、いつもに増して、捜査は難航し、フロストは窮地に追い込まれるが、ラストの収束の仕方も気が利いていて素敵だ。







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| 10:21:49 | トラックバック(0) | コメント(0)
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