FC2ブログ
小田実氏 死す さあ、何でもやってみよう

作家の小田実氏の死亡記事が、参院選の結果を告げる月曜日の朝刊に掲載されていた。



私が小田氏の評論を読んだのは、高校生か大学一年のときだったと思う。



「難死の思想」という難しい評論集であった。



その後、彼の初期からの小説や評論をかたっぱしから読んだ。



その中に有名な「何でも見てやろう」があった。これは、フルブライトの留学試験に受かった大学生・小田が、ものおじしない態度で渡米し、帰路、アジアを回って日本に帰ってくるまでの話だ。



ブロークン・イングリッシュで堂々とアメリカ人と語りあい、白人女性を堂々とナンパし、米国のコンフォーミズム(画一主義)を憂い、インドでは安宿にとまり、アジアについて考える。



アジアでは、苦い思いもするが、全編に明るく、エネルギッシュな行動力が満ち溢れる。



関西出身らしく、まあ、まず何でも見てやろうじゃないかという思想だ。



(彼は帰国後、有名なべ平連を立ち上げる)



彼の生涯のテーマは、少年時代に、空襲の下を、歩き回り、死体をいくつも見た体験だ。



戦争を大所高所からでなく、ゴキブリのように無駄な死を強いられる、庶民の立場で体験したことだろう。



戦争にいくら大儀があっても、虫けらのように抵抗もできず、空襲で殺される庶民にとって、戦争は悪である。



戦争や国家に対する突きつめた思考と、それと裏腹のような、楽天的な行動主義(本当は虚無的な行動主義なのかもしれないが)が結びついていた。



この楽天的・行動主義は、当時・青春時代をすごした若者の、多くを励ました。



10年ほど前に、復興をめざすカンボジアに取材に行ったとき、夜、ぼろぼろのホテルの一部屋で「何でも見てやろう」を読んだが、書物の言葉が、身にしみてきて、とても充実したときをすごせた思い出がある。



小田さんは、なくなったが、なんだか、生きているわれわれを励ましてくれる気がする。



中高年になっても、さあ、何でも見てやろう! 何でもやってみよう! じゃないか、と。



最近の小田さんの著作はほとんど読んでなかったが、これを機に読んでみようかなと思う。



小田さんのような若者(中高年でもいいが)と、世界を回るテレビ番組など作れたらいいなと思う。



関連記事


| 23:06:59 | トラックバック(0) | コメント(0)
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する