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人と人の出会いを大切に!の巻

通勤地獄、という言葉があります。オイル・サーディン状態で身動きひとつできず…なんて状況はたしかに「勘弁してちょんまげ!」と、車内の中心から叫びたくなりますよね。



でも、ほどよく混んでる電車って、悪くないです。オススメは22時台の電車。



終電間際のように、余裕のない狂騒に翻弄されることなく、ゆったりと人間観察ができるんです。先日も、その22時台の車内で「カメラさん、回して!」なんてシーンに遭遇しました。では5,4,3,2,1…スタート!。





…電車が駅に到着。車内の人波をかきわけ、網棚に荷物を置くと、隣には酔っ払った中年男性が立っていました。白いポロシャツに映える赤ら顔。あら挽きハンバーグを思わせる顔立ちで、目をつぶって鼻歌を歌っています。そのハンバーグ(以下:バーグ)の前の席には林家P子さん似のキリッとした40代くらいの女性が座っていて、雑誌を読みながらも、時折バーグに「この酔っ払いが!」という感じの侮蔑のこもった視線を投げていました。そして、座っているP子の足の前には、バーグのものとおぼしき汚れたビニール傘が無造作に横たわっています。よくある夜の車内の光景ですね。





そのうち、鼻歌をやめて静かになったバーグは、やおら両手でつり革をつかむと、電車の揺れに任せてぐらんぐらんと前後左右に揺れはじめました。この動きを示し始めた酔っ払いは、やがて嘔吐する確率が高い。それに、前後左右の乗客に乱暴にぶつかるので、トラブルに発展するケースも大いに予想されます。ヤバくね?



案の定、バーグの身体は引いては寄せる波のように、P子のひざをしたたかに打ちつけていました。怒りますよね、P子。もはや完全に雑誌から目を離し、バーグをにらみつけています。でもバーグは酔っ払いです。罪の意識なんて微塵もありません。相変わらずぐらんぐらんやってます。かわいそうなP子。不毛なにらみ合いがしばし続き、そしてクライマックスは唐突にやってきました。





電車が「池袋」駅に滑り込もうとする寸前のこと。酔いが回ったバーグの右手が、吊革から滑り落ちたのです。その右手はP子の左頬を直撃しました。パチーン、という音がして、気がつくとP子が左頬を押さえていました。なんと、滑り落ちた右手の勢いで、偶然にも、バーグはP子にビンタを食らわしてしまったのです。うわぁ、P子どうする?



傍観者を決め込んでいた自分も、大トラブルの予感に「カメラさん、P子に寄って、P子に!」と心の中で絶叫していました。ところが、その直後、今度は「オエーッ」というバーグのうめき声が。吊革からついに両手を離し、完全にしゃがみこんだんだバーグは、もはや発射5秒前状態。「カメラさん、バーグにパン!」そう心の中で叫んだ瞬間でした。なんとバーグは倒れていたビニール傘を拾うと、「よっこらしょっ。ハハハ」と立ち上がり、ゲロゲロすることもなく、上機嫌で池袋駅構内に消えていったのです…。電車が池袋を出発するころ、すでに車内の登場人物はすっかり様変わりし、P子の前には、若いOLが立っていました。



わけもわからず張り倒され、そのうえ怒りの矛先まで失ったP子。彼女の両肩はかすかに震えていました。泣いてるのかP子、それとも笑ってんの?…って、そんなわけないか。



結局、私が降りるまで、P子は顔を上げず、最後まで彼女の様子はわかりませんでした。ただ、彼女が読んでいた雑誌が、a誌の恋占い特集号だったことだけは確かです。





「BS11」は人と人の出会いを大切にするチャンネルです。「P子、お幸せに」―そう祈りながら、P子のようなオトナの女子をあたたかく包み込む番組企画を考えねばと、今まで以上に気合を入れ直した、そういっても過言ではない夜でした。《S》



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BS11 | 18:28:37 | トラックバック(0) | コメント(0)
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