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佐藤雅美の時代小説


最近、佐藤雅美(さとう・まさよし)の時代小説にこっている。



「物書同心居眠り紋蔵」シリーズは、江戸時代に、様々な事件に裁定を下す、八丁堀(今でいう警視庁であり東京地検であり、民事裁判所でもありというところか)の中でも、おかみのさばきを記録に残す物書同心という、縁の下の力持ち的な役目の中年男性が主人公。



しかも、この男、勤務中にうつらうつらと眠ってしまう奇病の持ち主。八町掘の中でも、あまり出世は望めない。



ただ、彼ゆえに、いろんな形で事件にかかわり、やがて真相が明らかになる。



といっても、すぱっと事件が解決するわけではなく、そこには、ああ、こんなことって、世間によくあるなあ、というペーソスがただよう。



ただ、それだけでなく、主人公の地道なまじめな行いが、積み重なって、幸運がもたらされたりもするので、やめられない。



藤沢周平とは、ちょっと違うが、しみじみ読める時代小説だ。



佐藤は、藤沢への追悼文の中で、藤沢の小説を読み、すごい天才で真似ができないが、唯一真似できるとしたら、その綿密な時代考証だと思い、江戸の法制度などを詳しく調べたと、いうことを書いている。



また、佐藤が直木賞をとったのは、藤沢の推挙もあったと書いている。そういう意味では、藤沢周平の後継者とも言えるだろう。





物書同心居眠り紋蔵



さて、もうひとつ「覚悟の人」のほうは、小栗上野介忠順という、江戸末期の実在の人物が主人公で、たんたんと、その半生を記述している。



幕末に、堂々と外国とわたりあい、徳川幕府存続のために筋を通し、最後は明治政府によって殺害される。



彼の目からみると、勝海舟は幕府の中にありながら倒幕派に理解を示す、中途半端な人物に見えるし、長州や薩摩の維新の浪士たちも、できもしない「攘夷」(外国勢と戦うこと)をかかげて幕府を揺さぶるとんでもないやからに見える。



明治維新を複眼的に見るのに、面白い小説でもある。





覚悟の人―小栗上野介忠順伝






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インポート | 11:00:00 | トラックバック(0) | コメント(0)
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